春 進路
佐藤史生・著『打天楽』収録の「楕円軌道ラプソディ」という小品中、
中心登場人物の少女、青野唯子の台詞に
わたしはわたしになりたいの
勉強して成熟して
私自身の大人になりたい
とあります。
昭和62年に発行されたこの単行本を
買った時、私は高校2年か3年生でした。
その頃の私は、
これから自分はどこに向かって何をして大人になっていくのかと
考えると、漠然とした不安がいつもありました。
友達と楽しく笑っていても、
夜布団に入って寝ようとしても、
「私はこれをやりたい。これになりたい。」
と、人にはっきり答えられないもどかしさに辟易していました。
確かに好きなことはある、好奇心もたっぷりとある、
しかしそれがいったい何の役に立ち
生きていくうえでどんな意味があるのか
大人はみんな自分はまだ背負ったことのない
大きな責任を背負って
世界のために尽くしているように見えるのに
こんな自分は甘いのではないか
自分以外の人々は学校の友人たちもみんな立派に見えて、
わけのわからない罪悪感に苛まれたものです。
そんな時、上記の言葉に出会いました。
「わたしはわたしになりたいの
勉強して成熟して
私自身の大人になりたい」
これ以上でもこれ以下でもない、
当時の私の心の内を言い表す言葉として
これ以上ピッタリなものはなかったのです。
わたしにとって、大きな救いの言葉でした。
今も、まだこの言葉に背中を押され続けています。
中学3年生の皆さんが無事に高校受験を終えて、
嬉しい合格のお知らせが続き、ほっと胸をなでおろしています。
楽しい明るい春、緊張から解放された笑顔の中に、
ちらりと遠い昔の自分が感じていたような
大きな未来を前にした不安がひょっこり覗いているのを
見つけるときがあります。
わたしはわたしになりたいの
勉強して成熟して
私自身の大人になりたい
いつでもここからスタートしましょう(#^^#)
迷っても立ち止まってもなんどでも
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